身近なスパイスを使ってクラフトコーラを作ろう

生活の中で身近にあり、香辛料などで使われている生薬を使って、クラフトコーラを作りましょう!

日本薬育研究会では、簡単にクラフトコーラが作れるキット「ヤクシコーラスパイスキット」を用意しています。

ヤクシコーラスパイスキットについてくる、説明書に調理方法の詳細を記載しています。
調理の際の準備物、方法については、説明書を見ながら、作ってください。

ヤクシコーラスパイスキットは、漢方薬の煎じ薬を飲む時に必要な手法の「煎じ方(煮るという工程)」を学びながら、クラフトコーラが美味しく作れちゃうスパイスキットです。

このページでは、
煎じ方だけでなく、クラフトコーラのこと、生薬の歴史のこと、生薬の医薬品と食品の違いについて学ぶことができます。

クラフトコーラって?

クラフトコーラは、複数の天然素材のスパイス+複数の柑橘類+砂糖+炭酸水を組み合わせて作ります。

▶︎クラフトコーラの生みの親は薬剤師?

生薬とは?

生薬とは、植物の葉、茎、根、鉱物、動物の中でも薬効があるとされる一部を「切る、乾燥する、蒸す」などして加工したものです。
漢方医学の考えに基づいて、基本的には2種類以上の生薬を定められた量で組み合わせた薬が「漢方薬」になります。

みなさんは、葛根湯という漢方薬をご存知でしょうか?
この葛根湯は医薬品で、複数の生薬の組み合わせでできています。

このような医薬品は、効能・効果を伝えて、販売することができますが、国の許可が必要な医薬品です。

「医薬品効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない原材料」に書かれている、桂皮や生姜などの生薬は、食品として取り扱うことができます。

ただし、「〇〇に効く!」「病気が治る」など、医薬品のような効能・効果をうたって、販売することはできません。

【参考】物の成分本質(原材料)についてー東京都福祉保健局

煎じ方

漢方薬の煎じ薬と同じ方法で、薬師コーラのスパイスも煎じていくのですが……漢方薬って、どんな形をしているのかもみていきましょう。

古来からの漢方薬のかたち

漢方薬には、いくつかのかたちがあります。
古来より使われてきた漢方薬のかたちは、煎じ薬、散剤、丸薬があります。煎じ薬は「葛根湯」など「〜湯」とつく漢方薬でよく使われるかたちで、生薬をじっくり煮出して使います。

散剤は、「防風通聖散」など「〜散」とつく漢方薬で使われるかたちで、乾燥した生薬を、薬研などですりつぶして粉末にして使います。

丸薬は、「八味地黄丸」など「〜丸」とつく漢方薬で使われるかたちで、生薬を粉末にしたものを蜂蜜などで丸めたものです。

最近の漢方薬のかたち

病院で処方されて薬局でもらう薬や薬店(ドラッグストア)で購入する薬には、エキス剤や錠剤の漢方薬がよく使われます。

エキス剤は、煎じ薬を煮詰めたエキスを濃縮、顆粒状にしたもの。錠剤は、煎じ薬を煮詰めたエキスを濃縮し、固形に固めたものになります。

煎じてみよう(煮てみよう)

ヤクシコーラのスパイスを、煎じ薬と同じ手法で煮出して作ってみましょう!
漢方薬で煎じ薬を作る大変さや環境などを体験することができます。

漢方薬の煎じ薬では、煎じ薬1日1包, 1日3回服用する場合、
400〜600mLの水で煎じて、出来上がりが半分になるようにコトコト煮ます。それを保温ポットに入れておいて、1日3回服用するのです。

煎じる容器に注意しよう

煎じる容器にも注意が必要です。鍋、土瓶、煎じ器を使いますが、
鉄製の鍋は避けなければなりません。

生薬に含まる成分が、鉄性鍋の鉄と反応して、抽出成分量が変化することがあります。そのため、鉄製の鍋やミネラルを多く含む水、pHの影響からアルカリイオン水も避けると良いでしょう。

煮出し過ぎないよう注意しよう

ここでポイントなのが、火が強すぎるとたくさん水が飛んでしまうので、カラッカラになり、空焚きしてしまわないように注意することが必要です。そのため、すこしクツクツと煮ている状態で30分ほどがよいでしょう。

もし、煮詰め過ぎた場合は、水を加えて量を調整します。

クラフトコーラは失敗しても気にしない

クラフトコーラは医薬品ではないので、失敗しても大きな問題にはなりません。空焚きだけは注意したいので、火をかけているときは、様子を見るようにしてください。

煮詰め過ぎたら水を加え、煮詰め不足であれば少し長めに煮ればよいのです。またこの後に、砂糖や果汁を加えて煮立たせるので、30分煮た後に水分量が少なければ、その時に水を加えて250mLにしても良いですよ!

生薬の歴史を知ろう

生薬は、飛鳥時代に中国から医薬品制度や医学を積極的に導入する際に、日本にやってきました。

次第に日本中に生薬が広まり、江戸時代半ばごろには、
海外からの輸入した薬を唐薬。日本で作られた薬を和薬としてつかわれていました。

しかし、世の中には悪い商人もいました。似ている生薬があれば、高い生薬を安い生薬に入れ替えたり、嘘をついて偽物を売っている者もいました。

例えば、どちらも生薬ですが、とても似ています。
竜骨という化石からとる生薬は、高価なものです。一方、山薬は山の芋を乾燥させたもので、安価に手に入りました。これを混ぜたり入れ替えたりする悪い者もいました。

薬をせっかくお金をだして買ったのに、効果がおもうように出ず、悲しい思いをした人も多くいたそうです。

このままではいけないと、大阪の道修町の商人たちは立ち上がりました。「薬種中買仲間」を作り、海外から入ってくる唐薬を、大阪の道修町にいったん集めて検査をして、それからお墨付きを得た生薬のみを、日本全国の薬種屋に販売するようになりました。

その甲斐もあり、安全な薬の安定供給や品質確保に
「薬種問屋」は重要な役割を担うようになっていきました。

その重要な「安全な医薬品の安定供給と品質確保」は、現代にも引き継がれています。作られた薬は、温度管理などしっかりと品質が管理された状態で、医薬品卸に集められ管理され、地域の薬局や病院に薬が運ばれ、みなさんのもとに届くようになりました。これはとてもすごいことなのです。

一方で、現代になってインターネットでさまざまなものが購入できるようになりました。便利な反面、正しいルートでない場合、偽物や健康被害が起きるサプリメントが流通することがあります。

厚生労働省の調査では、食品であるサプリメントに健康被害のリスクのある医薬品の成分が検出されたケースが報告されています。

また、医薬品を個人輸入した時に、本来とは違う成分が検出される医薬品があったケースも報告されています。

薬局、薬店以外で薬を求める時、危険が潜んでいるため注意が必要です。へんだな?おかしいな?と思った時は、通報することができるサイトもありますので、ご活用ください。

▶︎ あやしい薬物連絡ネット

おわりに

クラフトコーラを作ってみると、砂糖の量がたくさんだなぁ!と驚くと思います。炭酸飲料になると甘みが感じにくく、砂糖の量が多く入っています。身の回りの炭酸飲料には、どれだけの砂糖がはいっているのか調べてみると面白いかもしれません。

炭酸飲料をそのまま飲む場合と、炭酸が抜けた後のものを飲む場合で比較しても、甘味の感じかたが違います。

また、漢方医学の考え方としても、砂糖を取り過ぎたり、胃を冷やしすぎることは良くないとしています。そのため、クラフトコーラや冷たい飲み物、甘い物は、飲み過ぎたり取り過ぎないように注意しましょう。